2019年10月19日

第28回「りんどう句会」報告

<第28回「りんどう句会」報告(2019930日(月)開催)>

 今回は14名の出席、出句数は、14名×3句の合計42句。9月の兼題は田村昌恵さん出題の「月見」。

多忙な日常生活のなかで、仲秋の名月をゆっくり眺めて賞するひとときを意識して持っていたいですね。傍題は、月祭る、月の宴、月見酒、月見団子、月見舟など月見にまつわる言葉がたくさんあります。それぞれの月見に馳せる思いを込めて多くの佳句が寄せられました。

下記に高得点句を紹介します(3点以上、一部添削後。氏名は俳号)。

 次回は1028日(月)の開催(13時〜16時、鎌倉稲門会玉縄事務所)。兼題は千葉ふみこさん出題の「紅葉」。兼題1句と当季雑詠2句の合計3句を出句。

    5点:化粧濃き声高の()ら秋暑し      前川たく

5点:絵付する陶芸の庭萩の風       田村昌恵  

  4点:人よりもやはりうさぎが似合ふ月   高吉よしえ     

  4点:老舗の名探す銀座に秋日射      田村昌恵

  4点:浅間山噴煙染むる秋夕焼       福田くにもと

  4点:鬼女舞ふよ風立ち騒ぐ芒原      鈴木金平

  3点:摩天楼のホテルの窓の月見かな    前川たく

  3点:風吹いて右往左往の芋の露      浜崎かづき

  3点:虫の音に歩を留めたる宿の庭     福田くにもと

  3点:チェロの音は風を奏でて賢治の忌   吉崎明光

  3点:墓参り兄の化身か秋の蝶       北村拓水

  3点:フランスにトリュフ日本に今年米   小川求

  3点:秋鯖や塩振るママの割烹着      吉崎明光

  

         (吉崎明光記)




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2019年09月03日

第27回りんどう句会の報告

<第27回「りんどう句会」報告(2019826日(月)開催)>



 今回は13名の出席、出句数は、欠席投句も含めて14名×3句の合計42句。

8月の兼題は高吉よしえさん出題の「蚊帳」(夏の季語)。

今は蚊帳を利用する機会はほぼ皆無と思われますが、皆さん、子供のころのさまざまな思い出を懐かしみながら、一句に仕立て上げていました。下記に高得点句を紹介します(3点以上、一部添削後。氏名は俳号)。


 次回は930日(月)の開催(13時〜16時、鎌倉稲門会玉縄事務所)。

兼題は田村昌恵さん出題の「月見」。兼題1句と当季雑詠2句の合計3句を出句。



     6点:腹掛の座敷童子も蚊帳にをり     吉崎明光

6点:みどり児のつかまり立ちや敗戦忌   小川 求  

  6点:ひと夏を鳴き切つたるや骸あり    鈴木金平

  4点:大蚊帳や五人家族でありし頃     浜崎かづき     

  4点:盆用意父せしやうに鎌研いで     小川 求

  4点:おみくじを結ぶ指先おにやんま    千葉ふみこ

  3点:蚊帳まとひ泳ぐ真似ごとせしことも  前川たく

  3点:住む町のホテルに夏の旅気分     前川たく

  3点:秋蝉の短く鳴いて落ちにけり     浜崎かづき

  3点:旧友は故郷動かず盆踊        吉崎明光

  3点:送火の消えて思ひを断ちにけり    浜崎かづき

  3点:小さき手をこわそに伸ばす庭花火   前川たく

  

         (吉崎明光記)




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2019年08月02日

第26回りんどう句会報告

<第26回「りんどう句会」報告2019年7月29日(月)開催)>


 今回は14名の出席、出句数は、参加者14名×3句の合計42句。

7月の兼題は上野なをひろさん出題の「蝉」あるいは「蜻蛉」(初秋の季語)。

今年は例年よりかなり遅い梅雨明けでしたが、一気に酷暑となり、にぎやかな蝉の声を耳にし、姿を目にするようになりました。空蝉もあちこちに散らばっています。かと思えば、早くも蜻蛉の姿も。

鎌倉に住む皆さんの日常生活から、あるいは幼き頃の思い出、ふるさとへの郷愁等々、多方面からの句が寄せられました。下記に高得点句を紹介します(3点以上、一部添削後。氏名は俳号)。

 次回は8月26日(月)の開催(13時〜16時、鎌倉稲門会玉縄事務所)。兼題は高吉よしえさん出題の「蚊帳」。立秋後は基本的に初秋の季語を詠みますが、「蚊帳」は夏の季語。しかし、句会の時期の現実的な季節感覚として良しとしました(兼題1句と当季雑詠2句の合計3句)。


    8点:昼下がり駒指す音と蝉の声      田村昌恵

5点:蝉を追ふ兄を追ふ我遠き日々     高吉よしえ  

  5点:辺野古なほ埋め立て続き花梯梧    千葉ふみこ

  4点:初蝉のリズムに合はせ米を研ぐ    千葉ふみこ     

  4点:高原の風の調べや群れ蜻蛉      吉崎明光

  4点:唐金の風鈴小気味よき蕎麦屋     吉崎明光

  4点:簾下げ無防備でゐる風呂上り     前川たく

  4点:あの虹の先に故郷雨あがる      浜崎かづき

  3点:松籟の途切れに響く蝉時雨      福田くにもと

  3点:塾の子のお守り揺れて夏休み     山田伸子

  3点:戻り梅雨猫は窓辺のインテリア    上野なをひろ

  3点:手放せし車恋しき炎暑かな      田村昌恵

  3点:梅雨晴間微笑む叔母は百五歳     薮野詠子

          (吉崎明光記)




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2019年06月30日

「第25回りんどう句会」報告

第25回「りんどう句会」報告(2019年6月24日(月)開催)


20176月に発足後、当会は2周年を迎え、今回で第25回目の句会となりました。

6月の兼題は明光出題の「夏至」。太陽が一年中で最も高く昇る日。昼の長さが眼目です。いわば一年の折り返し点でもあり、その日を境に、太陽は少しずつ衰えはじめます。ヨーロッパでは夏至の祭りが各地で盛んに行われているようですが、日本では梅雨の時期でもあり、「太陽が一年中で最も高く昇る日」といっても生活感覚としてあまり意識されていない感もあります。「夏至」という季語はその意味で「雨を含む」ので「雨の夏至」という表現は如何か、という意見もありましたが、「梅雨晴間」の日もあり、雨の夏至の日を強調するという意味で、深くこだわる必要もないのではと思います。二音でもあり、五七五にどのように盛り込むのか、結構難しい兼題だったかもしれません。

今回は14名の出席、出句数は、参加者14名×3句の合計42句が寄せられました。句会終了後は、大船駅前のホテルのレストランで2周年記念の懇親会兼暑気払いを楽しみました。

下記に高得点句を紹介します(3点以上、一部添削後。氏名は俳号)。

 次回は7月29日(月)の開催(13時〜16時、鎌倉稲門会玉縄事務所)。兼題は上野なをひろさん出題の「蝉」または「蜻蛉」(秋の季語ではありますが、次回開催日は立秋の1週間前の時期なのでよろしいと思います)のどちらか1句を選び、その兼題1句と当季雑詠2句の合計3句を出句。

        9点:イザヤ書を読み返したり雨の夏至   前川たく

   5点:つはものの攻め入りし浜卯波寄す   前川たく  

     5点:逝く人の頬撫づる妻梅雨最中     高吉よしえ

     4点:大宰府に万葉の風令和夏       田村昌恵     

     4点:夏帽子古城の街の石畳        山田伸子

     4点:小屋懸けのほぼ整ひて夏至の浜    高吉よしえ

     4点:半年をボーっと生きて夏至の夕    吉崎明光

     4点:モノレール走る里山落し文      千葉ふみこ

     4点:源平が覇権競はぬ蛍かな       鈴木金平

     3点:万緑に抱かれ地蔵わらべ顔      千葉ふみこ

     3点:紫陽花のブルーに染まる石畳     北村拓水

     3点:故郷は(やま)(もも)の実の熟るる頃      北村拓水

     3点:新種より昔ながらの四葩愛で     高吉よしえ

   (注:四葩(よひら):紫陽花の傍題)

      

                             (吉崎明光記)

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2019年06月01日

第24回「りんどう句会」開催報告

<第24回「りんどう句会」報告(2019527日(月)開催)>


5月の兼題は山田伸子さん出題の「万緑」。夏の生命力が溢れた見渡す限りの緑・・。

中村草田男が「万緑の中や吾子の歯生え初むる」から一般的に使用されるようになった

季語です。

今回は新入会員1名を加えて、出句数は、(参加者12名+欠席投句1名)×3句の合計36句で、多くの佳句が寄せられました。下記に高得点句を紹介します(3点以上、一部添削後。氏名は俳号)。

 次回は624日(月)の開催(13時〜16時、鎌倉稲門会玉縄事務所)。兼題は明光出題の「夏至」。出句は兼題1句と当季雑詠2句の合計3句。

 句会終了後、暑気払いを兼ねて、発会2周年記念の食事会を行います。


       6点:木漏れ日の揺らぐ水面やみずすまし  福田くにもと

  6点:球を追ふ子の声変りして立夏     吉崎明光  

    4点:万緑のかなたへ消えて寺の鐘     山田伸子

     4点:きらきらと実朝の海夏燕       小川求     

     4点:デコイチの汽笛一声麦の秋      浜崎かづき

     4点:藁燻す父の背(そびら)や初鰹    北村拓水

      3点:羅やひいき力士の髷の撥ね      小川求

    3点:葛切りのこくりと過ぐる白き喉    鈴木金平

    3点:夏燕あつというまの恋でした     鈴木金平

         3点:緑陰や都会の中の喫茶店        戸谷昇子

        

                                (吉崎明光記)

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2019年04月27日

第23回「りんどう句会」報告

<第23回「りんどう句会」報告(2019424日(月)開催)>


4月の兼題は鈴木聰さん出題の「行く春」。惜春の思いを詠嘆する季語です。出句数は、(参加者12名+欠席投句2名)×3句の合計42句。今回も、それぞれの春を惜しむ佳句が寄せられました。下記に高得点句を紹介します(3点以上、一部添削後。氏名は俳号)

 句会終了後は、句会欠席者2名も駆けつけ、14名全員でお茶会を楽しみました(「ホテルメッツかまくら大船」の白ヤギ珈琲店の個室を貸切で)。

次回は527日(月)の開催(13時〜16時、鎌倉稲門会玉縄事務所)。兼題は山田伸子さん出題の「万緑」。俳句は季節を先取りするので、5月は夏の季語となります。出句は兼題1句と当季雑詠2句の合計3句です。


      6点:行く春やばつさり捨つる古写真     前川たく

     6点:伸び縮みして遠足の子ら通る     浜崎かづき

     6点:春の雨降るも上がるも知らぬ間に   高吉よしえ

     5点:潮止り浮子も動かず目借時      上野なをひろ     

     4点:鼓の音桜蘂降る古屋敷        千葉ふみこ

     3点:春いくや煩悩の身はそのままに     鈴木金平

    3点:花の下耐へし米寿の慈母在す      山田伸子

    3点:行く春や真の平和を次世代に      戸谷昇子

    3点:崩れ落つる土塀彩るつつじかな     鈴木金平

        

                            (吉崎明光記)

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2019年04月09日

第22回りんどう句会開催報告

<第22回「りんどう句会」報告(2019325日(月)開催)>


3月の兼題は北村拓水さん出題の「蕗の薹」。早春、いち早く山野や庭先、土手など至るところに自生。萌黄色の花芽を見つけると、春の訪れを実感します。ほろ苦く、風味があり、蕗味噌やてんぷらにして味わうことも多いですね。今回も、蕗の薹の特性を生かした佳句がたくさん出句されました。

 次回は最終週の月曜日がゴールデンウイーク最中なので、変則的に424日(水)開催します。(13時〜16時、鎌倉稲門会玉縄事務所)。兼題は鈴木聰さん出題の「行く春」。傍題がたくさんあるので、句の風情によって自由に使用できます。投句は兼題1句と当季雑詠2句の合計3句です。

なお、当月の出句数は、参加者13名+欠席投句1名分の合計42句。うち、高得点句を以下に紹介します(3点以上、一部添削後。氏名は俳号)。


   7点:早や八年瓦礫押しのけ蕗の薹      浜崎かづき

  7点:結納のすみし親子の雛納め         戸谷昇子

  6点:春雷や夢の続きへ寝返りす       吉崎明光  

  4点:沈む日の名残りを揺らす春の湖     高吉よしえ

  3点:野地蔵の足下かしづく蕗のたう     福田くにもと

  3点:意志のある如く天向く蕗の花      千葉ふみこ

  3点:お返しの器に添へる蕗の薹       前川たく

  3点:花木五倍子揺らすりすの尾旭朝日浴び  千葉ふみこ

  3点:春茶席母の好みの江戸小紋       田村昌恵

  3点:うろ覚への校歌三番卒業す       浜崎かづき

      

                             (吉崎明光記)




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2019年03月06日

第21回「りんどう句会」報告

<第21回「りんどう句会」報告(2019225日(月)開催)>


 今月の兼題は福田くにもとさん出題の「雪解水(ゆきげみず)」。「雪解(ゆきどけ、ゆきげ)」、「雪解川(ゆきげがわ)」、「雪解風(ゆきげかぜ)」などでも可。鎌倉に住んでいると、なかなかその光景が実感できないかもしれませんが、日本語の美しさを感じる言葉ですね。「雪国や山岳地の積雪が解け始め、川が増水して轟々と響き流れることもある」と角川の俳句歳時記には説明があります。<雪とけて村一ぱいの子どもかな>(小林一茶)、<雪解川名山けづる響かな>(前田普羅)などの名句があります。


 さて今月の参加者は、見学者1名を加えて14名。いつものことながら、選句された句に対する合評の場では笑い声が絶えず、見学の方も句会の雰囲気の良さに驚かれていました。


 次回は325日(月)開催予定(13時〜16時、鎌倉稲門会玉縄事務所)。兼題は北村拓水さん出題の「蕗の薹」。投句は兼題1句と当季雑詠2句の合計3句です。以下、当月の高得点句(3点以上、一部添削後。氏名は俳号)。


     10点:ものの芽の命見極め鍬振るふ      吉崎明光

  8点:大平原くの字くの字の雪解川      前川たく

  7点:梅一輪打ちたて蕎麦に添へて出し     上野なをひろ

  6点:啓蟄や氏神起こす地鎮祭        鈴木金平

  4点:妻が居て何事も無き春炬燵       北村拓水

  3点:雪解や妻の機嫌はなほらぬに      鈴木金平

  3点:丹頂の足元濡らす雪解水        上野なをひろ

  3点:耳遠き夫との日々や春炬燵       高吉よしえ

  3点:畔火立つ火色の先に浅間山       福田くにもと

  3点:兎小屋の藁敷き替へて卒業す      浜崎かづき

    

                        (吉崎明光記)

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2019年01月30日

第20回「りんどう句会」報告

<第20回「りんどう句会」報告(2019128日(月)開催)>

 石川啄木に<いつしかに、正月も過ぎて/わが生活(くらし)が/またもとの道にはまり来たれり>という歌がありますが、1月最後の週、新年の季語「初富士」を兼題として、しばし正月気分に戻り、参加者14名が今年の「初句会」(これも新年の季語)を楽しみました。今回は、入会して日の浅い会員が次々と高得点を得て、皆さん、急速に実力をつけてきていることがうかがえました。句会終了後は大船駅前の居酒屋で、全員参加の新年会で盛り上がりました。

 次回は225日(月)開催予定(13時〜16時、鎌倉稲門会玉縄事務所)。俳句の世界では立春を過ぎると春の季語で詠みます。兼題は「雪解水(ゆきげみず)、雪解(ゆきどけ)及びその傍題でも可)」。投句は兼題1句と当季雑詠2句の合計3句。(注:啄木の歌は三行書ですが、便宜上/で表しました。句読点もそのまま。)


 以下、当月の高得点句(3点以上、一部添削後。氏名は俳号)。

  11点:島影の切り絵に見えて冬茜       北村拓水

  6点:肩寄するわらべ地蔵や梅早し      吉崎明光

  5点:フィニッシュはスカートで取り手毬の子 浜崎かづき

  4点:初富士やただそこにあるありがたさ   山田伸子

  4点:冬日和こくり舟漕ぐ妻がゐて      鈴木金平

  4点:湯豆腐や白さ浮き立つ妻の肌      北村拓水

  4点:亡き友の屋根より冴ゆる寒の月     藪野詠子

  4点:母の歳越えて寒夜のひとり酒      田村昌恵

  3点:テープ切り両の拳を初富士へ      吉崎明光

  3点:初富士のことに大きく見えにけり    浜崎かづき

  3点:初参り祈ぎ事ひとつ加えけり      山田伸子

  

                        (吉崎明光記)

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2019年01月09日

「第19回りんどう句会」報告

<第19回「りんどう句会」報告(20181224日(月)開催)>

 クリスマスイブも何のその、13名の会員が集まり、欠席投句1名も加え、14名×3句の42句が寄せられました。今月の兼題は「柚湯」。柚子風呂、冬至風呂とも言います。年の暮れ、来し方行く末を考えながらゆったり柚湯に浸かる、今では実際どの程度各家庭で行われているかどうかわかりませんが、子供のころの思い出も含めて、季節感を十分味わうことができました。

 なお、次回は128日(月)開催予定(13時〜16時、鎌倉稲門会玉縄事務所)。俳句の世界では晩冬の時期ですが、当句会は月末近くに開催されるため、月初の季語はなかなか詠む機会がありません。したがって、せっかく新年の季語もたくさんありますので、当季雑詠のなかに、新年を含むことも可としました。兼題は「初富士」。まさに新年の季語です。兼題1句と当季雑詠2句の合計3句を投句してください。当日は句会終了後、新年会も行います。

 以下、当月の高得点句(3点以上、一部添削後。氏名は俳号)。

  7点:吊り下がる鮟鱇客を竦ませり     山田伸子

  6点:人柄も暮しも見えて納め句座     高吉よしえ

  5点:柚子湯して母と歌ひし武田節     前川たく

  4点:段取りを終へて一息小晦日      千葉ふみこ

  4点:冬至風呂去年は一緒に入りしに    鈴木金平

  4点:相模湾冬日に描く鳶の輪       福田くにもと

  4点:病む人の軒を彩る寒椿        藪野詠子

  3点:国会にシュプレヒコール銀杏散る   田村昌枝

  3点:マスクして物言ひたげなをんなの目  吉崎明光

  3点:おでん煮て家出心の旅支度      戸谷昇子

  

                        (吉崎明光記)




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2018年12月05日

「第18回りんどう句会」報告

<第18回「りんどう句会」報告(20181126日開催)>


 当月の兼題は「冬薔薇(ふゆそうび)」。四季咲きの冬に咲く薔薇のこと。冬枯れの中でぽつんと咲く姿ははかなげです。そのためか全体に寂しげな風情をイメージした句が多かったようです。出席者は11名。他に欠席投句3名で合計14名×3句=42句の出句。

 次回は1224日(月)開催予定(13時〜16時、鎌倉稲門会玉縄事務所)。兼題は「柚湯」。兼題1句と当季雑詠2句の合計3句の投句。

 当月は、皆さんの力が拮抗してきたためか、各人の好み・評価がかなり分散し、3点以上を集めた句は以下の通り6句のみでした(氏名は俳号)。


    6点:愛でる人も無き廃屋の冬薔薇      上野なをひろ

    6点:枯菊や喪中葉書の又一枚       高吉よしえ

    5点:冬薔薇病む身の妻は頬に紅      吉崎明光

    3点:結ひ髪の火影姿や酉の市       吉崎明光

    3点:北風やひと息に乾す屋台酒      前川たく

    3点:鵙鳴くや独り居の米磨ぎをれば    吉崎明光

    

                             (吉崎明光記)



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2018年11月02日

第17回「りんどう句会」報告

<第17回「りんどう句会」報告(2018年T029日開催)>

 今月の兼題は「秋深し(深秋)」。朝晩はともかくも、日中の気温はまだ20度を超える日々、季語の実感は薄くても、俳句は季節を先取りするもの。比較的取り組みやすい兼題だったためか、佳句が多く寄せられました。

 今月は新入会員が2名参加、会員数は17名となりました。お2人とも俳句は初めてという触れ込みでしたが、初回から高得点句に名を連ねるなど、複数の選者の選に入り、先がとても楽しみです。

なお、次回は1126日(月)開催予定(13時〜16時、鎌倉稲門会玉縄事務所)。俳句の世界では初冬です。兼題は「冬薔薇(ふゆそうび)」。兼題1句と当季雑詠2句の合計3句を投句してください。

 以下、当月の高得点句(3点以上、氏名は俳号)。

  7点:マドンナの訃や深秋のクラス会    吉崎明光

  7点:秋深しなじみの老舗店を閉づ     高吉よしえ

  4点:菓子を焼く古きレシピや秋深し    山田伸子

  4点:土地の者のみ知る道ぞ草紅葉     高吉よしえ

  3点:秋深し袱紗をさばく指白し      千葉ふみこ

  3点:落葉落葉吾も掃ききれぬ愁ひあり   鈴木金平

  3点:思はずもふとん掻き寄す夜寒かな   高吉よしえ

  3点:秋深し托鉢の経ひびき合ふ      山田伸子

  3点:秋深し開きしままの宇宙本      前川たく

  

                        (吉崎明光記)

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2018年09月29日

第16回「りんどう句会」報告

<第16回「りんどう句会」報告(2018924日開催)>


 今月の兼題は「秋桜(コスモス)」。初秋から晩秋まで、淡紅、濃紅、白など、色とりどりの花を枝先に咲かせます。風にそよぐ姿から一見弱弱しく見えるものの、芯は丈夫でどこにでも育つ花です。今回も、風にそよぐコスモスの風情そのもの、揺れるコスモスに寄せる作者の心模様、あるいは、コスモスの芯の強さと屹然とした女性の姿を重ね合わせたものなどを詠んだ、多くの佳句が寄せられました。

 今月は新入会員が1名参加、総員15名となりました。次回は1029日(月)開催予定(13時〜16時、鎌倉稲門会玉縄事務所)。兼題は「秋深し(深秋など傍題も可)」。兼題1句と当季雑詠2句の合計3句を投句のこと。

 以下、当月の高得点句(3点以上、氏名は俳号)。



    7点:コスモスに車椅子の子の見え隠れ   前川たく

    6点:野仏の供花に手折らむ秋桜      浜崎かづき

   6点:里山を真一文字に鬼やんま       田村昌枝

    5点:途中下車コスモス群るる無人駅    福田くにもと

    5点:太き友細き友ゐて秘湯の月      鈴木金平

    4点:屹として去りゆく項秋桜       鈴木金平  (項:うなじ)

    4点:朝顔の紫紺で染まるほつれ垣     前川たく

    3点:面差しはたしかあのひと秋桜     吉崎明光

    3点:えびせんに重なる指や夜長し     吉崎明光


                               (吉崎明光記)

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2018年08月30日

第15回「りんどう句会」報告

<第15回「りんどう句会」報告(2018年8月27日開催)>


相変らずの猛暑の中、11名の参加を得て、8月例会が開催されました。

兼題は「七夕・天の川・星祭」。今回は珍しく得点がばらつきましたが、句会発足後1年が経過し、全員のレベルが平均的に上がってきたものと、前向きにとらえております。

 9月の兼題は「コスモス(秋桜)」、9月24日開催、兼題1句に当季雑詠2句投句となっております。

 初心者の方のご参加、取りあえず見学したいという方も大歓迎です。

 以下、当月の高得点句(3点句以上、氏名は俳号)


5点  秋茄子の色際立たす皿白し      高吉よしえ

4点  ひぐらしにふと歩を止める切通し   千葉ふみこ

           人生に余熱のありて残暑かな     戸谷昇子

3点  亡き人の名をつけて呼ぶ星二つ    梅原誠史

        宿題に追はれし日々や法師蝉        藪野詠子

        月指して火星を指して踊の手     吉崎明光

        天窓の画布に煌めく天の川      福田くにもと

        空襲はもうないと母終戦日      前川たく

衛星に邪魔されさうな星の恋     浜崎かづき

身を反らせ全力校歌天高し      田村昌恵

                           (浜崎かづき記)

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2018年08月01日

第14回「りんどう句会」開催報告

<第14回「りんどう句会」報告(2018年7月30日開催)>


気象庁連日「初の」酷暑かな (上野なをひろ)


掲句にあるような記録的な猛暑をものともせず、10名の参加を得て、7月例会が開催されました。兼題は「日焼」。小麦色に焼けた日焼は本来健康的で美しいイメージがあったのですが、医学的には好ましくないとされ、昨今では否定的にとらえられるようになりました。ただ、我が句会では、本来の日焼を詠んだ名句?が多く投句されました。なお、8月の兼題は「七夕・天の川・星祭」、8月27日開催、兼題1句に当季雑詠2句投句となっております。

以下、当月の高得点句(3点以上、氏名は俳号)


  5点  流螢の点りては消え闇を編む      福田くにもと

  5点  イレブンを統べる知将の白きシャツ   田村昌恵

  5点  富士山を極めし友の日焼顔       前川卓

  4点  日焼の子満載にして小海線       浜崎かづき

  4点  逆上がり出来てはにかむ日焼顔     田村昌恵

  4点  日焼せし我に苦言の母遠し       高吉よしえ

  3点  ウォーキング八十路過ぎても日焼止め  誠史

                         (浜崎 かづき記)
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2018年06月29日

第13回りんどう句会実施

〈第13回「りんどう句会」報告(2018625日開催)〉

今月の兼題は「サイダー」。昔は「サイダー」と「ラムネ」くらいしかなかった清涼飲料水も最近は色々な種類が増え、サイダーの影は薄くなってきましたが、我々サイダー世代にふさわしい名句(?)が多く寄せられました。今月から新入会員が1名増え、総員14名となりました。1年前に10名で発足した当会ですが、「初心者大歓迎楽しく俳句を・・」をモットーに会員も順調に増えつつあります。句会終了後の大船での1周年記念祝賀会は、俳句の話あり、サッカーの話ありで大いに盛り上がりました。なお、7月の兼題は「日焼(ひやけ)」、730日開催(原則:毎月最終月曜日:1時開催4時頃まで)、兼題1句に当季雑詠2句投句となっております。

以下、当月の高得点句(3点以上、氏名は俳号)

   7点  伸ばす手に幽かな風や蛍飛ぶ    田村昌恵

  4点  浅間嶽消えて信濃は送り梅雨    福田くにもと

     4点  クラス会安保闘志の夏帽子     田村昌恵

     4点  サイダーをバケツで冷やす草野球  浜崎かづき

  4点  蚊遣火を囲み通夜待つ人の黙    浜崎かづき

     3点  山は噴き陸はうねりて初夏異変   千葉ふみこ

     3点  サイダーを卒業の子らハイサワー  田村昌恵

                         (浜崎かづき 記)

  俳句の会・句会.JPG 俳句の会一周年.JPG

    今回参加者      1周年記念祝賀会

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2018年06月08日

「第12回句会」報告

<第12回「りんどう句会」報告(2018年5月28日開催)>

今回の兼題は「鮎」。「久しく食べていないので難しかった!」との声が多かったのですが、俳句は、自身の経験のみではなく、映像などで見たことや聞いた話、読んだことなどから発想を自由に飛ばして詠んで良いのです。今回から新規に1名入会されましたが、「笑いが絶えなくて面白い会でした!」との感想をいただきました。6月25日(月)(13時〜玉縄事務所において)の第13回句会は、当句会発足後、丸1年の記念句会になります。6月からはさらに1名の新規会員をお迎えする予定で、会員数は計14名となります。当日の句会終了後、1周年記念の宴会も予定しています。なお、6月の兼題は「サイダー」。兼題1句と当季雑詠2句を投句して下さい。
以下、当月の高得点句(3点以上、氏名は俳号)。

   6点:鮎上がる堰に屯す鳥の群    上野なをひろ (屯=たむろ)
   5点:程良しと一気に抜くや鮎の骨   吉崎明光
   4点:被爆地の川を忘れず上がる鮎  福田くにもと
   4点:鮎跳ねて深き静寂に我一人    鈴木金平   (静寂=しじま)
   4点:青蛙去年もここにゐた君か     吉崎明光
   3点:時の日や二分刻みの山手線   浜崎かづき
   3点:葉洩れ日のゆらぐ流れに鮎の影 福田くにもと
                               (吉崎明光記)


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2018年05月20日

第11回「りんどう句会」開催報告

<第11回「りんどう句会」報告(2018年4月23日開催)>
参加者10名。今回の兼題は「春の宵」。春の宵は「春宵一刻直千金」というように、どことなく華やぎとともに艶めいており、また、妖しげでもあり・・・。
その雰囲気を上手に取り込んだ佳句が多く発表されました。益々皆さんのレベルがアップしてきています。次回の第12回句会は5月28日(月)、玉縄事務所で午後1時から開催予定です。兼題「鮎」1句と当季雑詠2句の計3句。5月には新しい会員も1名加わります。昨年6月にスタートした句会も丸1年を迎えます。まだまだ会員募集中です。是非ご参加を(事務所宛メールでご連絡ください)。以下、当月の高得点句(幾つかの句に点が集中したため今回は4点以上を紹介。氏名は俳号)。

  7点:春宵の転寝覚めて夕餉の香      上野なをひろ  (転寝=うたたね)
  7点:聞き馴れし木戸のきしみや春の雨  高吉よしえ
  6点:聖と邪が潜みをるかや春の宵     鈴木金平
  4点:春の宵溶け合ひてゆく空と海     前川たく 
                               (吉崎明光記)



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2018年04月12日

「第10回句会の報告」

<第10回「りんどう句会」報告(2018年3月26日開催)>

今回の兼題は「花(桜)」。俳句では「花」と言えば桜のこと。古来数多くの桜の句が詠まれてきましたが、今回、当句会においても、とてもユニークで「花」に対する日本人の感覚を上手に詠みこんだ句も発表されました。俳句を初めてまだ間もないという会員に高得点句が生まれており、経験者もうかうかしていられません。次回は、最終週の月曜日30日がゴールデン・ウイーク(因みに、実はこれも晩春の季語です)の最中なので、1週間前倒しして4月23日(月)13時より、玉縄事務所で開催予定です。兼題「春の宵」1句と当季雑詠2句の計3句。見学でも結構ですので、ご関心のある方、ぜひご一報ください(事務所宛メールで)。以下、当月の高得点句(一部原句を添削。3点以上、氏名は俳号)。

  9点:夜桜や六方踏むか石畳        鈴木金平
  5点:花咲けど愛でる人なき被災の地   千葉ふみこ
  5点:春の蕗煮れども越せぬ母の味    高吉よしえ
  4点:浮き浮きと川面を舞ふや初燕    上野なをひろ
  4点:吉野よりも母の里なる八重桜    高吉よしえ
  3点:居眠りもさせぬ話芸や目借時    吉崎明光
  3点:残雪の芽鱗敷き詰む橅の森     福田くにもと

                                   (吉崎明光記)



  
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2018年03月11日

句会の報告

<2018年2月26日開催第9回りんどう句会報告>

今回の兼題は「早春」。立春後しばらくの間をいう季語。実感では寒さが最も厳しい頃ですが、どこかに春の気配を感じる季節でもあります。この感覚をうまく詠みこめるか。下記の高得点句をみても、今回の兼題も難しかったようですね。次回は3月26日(月) 13時より、玉縄事務所で開催されます。兼題の「花(桜)」1句と当季雑詠2句の計3句。見学でも結構ですので、ご関心のある方、是非ご一報ください( 事務所宛メールで)。以下、当月の高得点句(一部、原句を添削。3点以上、 氏名は俳号)。

     6点:ほろ苦き夜や蕗味噌とロゼワイン    田村昌枝
     6点:背を向けし男に似たる男雛かな     鈴木金平
     5点:どの店も元祖本家や梅日和       吉崎明光
     4点:いつからか夫の仕事や雛飾       高吉よしえ
     4点:紅梅の明日こそ蕾弾けむか       小林としを
     4点:里山の栗鼠も婚活春兆す        田村昌枝
     3点:蕗のたう摘む友の背の丸くなり     千葉ふみこ
     3点:余寒なほ青物の値を一瞥す       吉崎明光
     3点:締め込みで寒中神輿の出番待つ    小林としを

                                         (吉崎明光記)



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