2023年05月23日

第71回「りんどう句会」報告

第71回「りんどう句会」報告

(2023年5月1日(月)鎌倉芸術館にて開催)

第71回句会は13名の出席、1名のメールによる欠席投句で、一人3句ずつ全42句の出句でした。当月の兼題は浜崎かづきさん出題の春の季語陽炎です。                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                  

今回の最高点は、浜崎かづきさんの句、「身の上を問はず語りの遍路宿で、9点を獲得しました。選評では、「デジャビュの句。多くの類句がありそうではあるが、句としてはきちんとまとめられている良い句」という感想がいくつも述べられました。かづきさんの実体験に基づく句ということです。

7点句の田村昌恵さんの句は、酒の香りのする酒蔵の並んでいる街の様子が映像として目に浮かぶという選評がありました。この句では、上五の「陽炎に」は、つかみどころのない陽炎の特徴がそれ以下の「酒の香りや蔵の街」との取り合わせとして詠われています。

同じく7点句の山田伸子の句は、春といっても楽しいことのみではなく、門出を前にした若者の不安や揺れる心がよく表現されているとの選評がありました。特に、「桜どき」という下五の季節感がとても効いているとの評もいただきました。

6点句は、吉崎明光さんの句で、同世代、しかも早稲田の同窓生で、いまだに某ビール会社や住宅メーカーのCMなどに出演するなど現役で活躍している女優の吉永小百合さんと「昭和の日」という季語の取合せがはまっているとして、多くの仲間の心をつかんだようです。明光さんは、学生時代、図書館で偶然隣の席に座っていた彼女に気が付いたときの思い出をいかにも嬉しそうに披露していました。

次回は5月29日、兼題は前川たくさん出題の夏の季語「若葉」です。兼題1句と当季雑詠2句をご用意ください。

 当句会への新規入会あるいは体験参加希望の方は、鎌倉稲門会事務局あてメールでお問い合わせください。

【今月の高得点句一部修正、同点句は兼題優先)氏名は俳号

(9点句)  身の上を問はず語りの遍路宿        浜崎かづき

(7点句)  陽炎に酒の香りや蔵の街          田村昌恵

       青年の門出の憂ひ桜どき          山田伸

(6点句)  息永き吉永小百合昭和の日         吉崎明光

(4点句)  祖父譲り負けん気顔の一年生        鈴木金平

 百千鳥音叉ひとつの調律師         前川たく

(3点句)  かげろふの不思議を問ひし幼なき日     高吉よしえ

 寺の脇蝌蚪湧く池面さんざめく       千葉ふみ子

                                   (山田伸子記)





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2023年04月11日

第70回「りんどう句会」報告

第70回「りんどう句会」報告

(2023年3月27日(月)鎌倉芸術館にて開催)

70回句会は欠席投句2名を含む13名の投句で計39句、選句は⒕名で行いました。当月の兼題は千葉ふみこさん出題の春の季語「枝垂桜」。その容姿から糸桜とも呼ばれ、淡紅色の一重の花が天蓋の形で枝垂れる姿はとても艶っぽくて美しいものです。                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                          

千葉ふみこさんの「幾千の恋路見つめて紅枝垂」や、石川一洋さんの「秘め事を覆ふ如くに紅枝垂」は特にそのあたりの本意を印象的に捉えた句で多くの読者の共感を呼びました。

当季雑詠では、田村昌恵さんの「青信号園児手に手につくしんぼ」は「つくしんぼ」がとても効いていて可愛らしいとの声が多く、最高点の10点句となりました。

千葉ふみこさんの「咲き競ふ木蓮の白空の青」は見上げる高木の白木蓮と空の青との

対比が見事との評、また、福田くにもとさんの「草餅を食むのが先の寺参り」(古語では、食む=はむ、と読みます)の句には皆さん大笑いでした。

 3点以上の得点を上げた句は以下に掲げますが、それぞれの句を味わっていただければと思います。なお、ここには掲げませんが、無点句を含めた2点以下の句にも佳句がたくさんあります。会員それぞれのこれまでの人生経験や感性、好み、句歴等々の違いにより、選が分かれるのは俳句ではむしろ当然のことです。

次回は5月1日(月)(当初予定は4月最終週の月曜日の24日でしたが、都合により変更)開催で、兼題は浜崎かづきさん出題の「陽炎(かげろう)」です。兼題1句と当季雑詠2句をご用意ください。

 当句会への新規入会あるいは体験参加希望の方は、鎌倉稲門会事務局あてメールでお問い合わせください。お待ちしております。


【今月の高得点句(原句を一部修正。同点句は兼題優先)氏名は俳号

     (10点句) 青信号園児手に手につくしんぼ   田村昌恵 

     ( 8点句) 咲き競ふ木蓮の白空の青      千葉ふみこ 

     引越しの荷や車座の桜餅       吉崎明光

     ( 7点句) 幾千の恋路見つめて紅枝垂     千葉ふみこ 

     ( 5点句) 草餅を食むのが先の寺参り     福田くにもと

     ( 4点句) 秘め事を覆ふ如くに紅枝垂     石川一洋 

     糸桜地を掃くやうに吹かれをり    浜崎かづき

     ( 3点句) 老いてなほ華やぎ増して糸桜     高吉よしえ 

            春昼やうかうか歳を重ねをり     石川一洋


       (吉崎明光記)


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2023年03月27日

第69回「りんどう句会」報告

第69回「りんどう句会」報告

(2023年2月27日(月)鎌倉芸術館にて開催)

第69回句会は全会員出席で14名、一人3句ずつ全42句の出句でした。当月の兼題は田村昌恵さん出題の春の季語春光です。                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                         

今回の最高点は、石川一洋さんの句「春泥や戦車の轍幾重にもで、7点を獲得しました。ニュースで見るウクライナの悲惨な状況に思いを走らされ、戦争が早く終わって欲しいという気持ちになりますね。

6点句は吉崎明光さんの句が2句です。「サハリン遥か春望の利尻富士」は、「春望」が兼題「春光」の傍題です。稚内からの高速船上、利尻富士を眼前にしてサハリンへの思いをロシア領という気持ちも踏まえて詠んだそうです。3人の選者が特選に入れています。

梅東風や見慣れぬ文字の絵馬二枚」は、「日ごろあまり目にしない文字で書かれた絵馬」というのが興味深いという選評がありました。作者は、「あるいはウクライナからの難民が支援者に案内されてお参りした際に、絵馬に願いを込めたものかもしれないなどと想像を巡らした、でも、二枚あるのは一人ではなさそう、と思った点に若干の救いも感じた」と説明していました。(「梅東風=うめごち」)  

次回は3月27日、兼題は千葉ふみ子さん出題の「枝垂桜」です。兼題1句と当季雑詠2句をご用意ください。

 当句会への新規入会あるいは体験参加希望の方は、鎌倉稲門会事務局あてメールでお問い合わせください。


【今月の高得点句(同点句は兼題優先)氏名は俳号

(7点句)  春泥や戦車の轍幾重にも          石川一洋        

6点句)   サハリン遥か春望の利尻富士        吉崎明光

       梅東風や見慣れぬ文字の絵馬二枚      吉崎明光

(5点句)  御神籤をまた引き直す受験生        前川たく

       春一番スーツケースが走り出す         浜崎かづき

(4点句)  春の日や今日退院の夫を待つ        藪野詠子

        病室に歳時記を繰る夜ぬくし        鈴木金平

(3点句)  春コート修司の如くひるがへす       石川一洋

 盛り付けは備前に蕗の薹揚げて       吉崎明光

 耳澄まし鳥当て遊ぶ春茶室         千葉ふみ子

  

      (山田伸子記)


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2023年02月06日

第68回「りんどう句会」報告

第68回「りんどう句会」報告

(2023年1月30日(月)鎌倉芸術館にて開催)

第68回句会は久々に13名の全会員出席で一人3句ずつ全39句の出句でした。また、今回は安藤宗幸さんの見学参加があり、選句に参加していただきました。当月の兼題は高吉よしえさん出題の冬の季語「日脚伸ぶ」です。                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                       

今回の最高点は、田村昌恵さんの句「初釜や母の晴れ着に祖母の帯」で8点を獲得しました。季語の「初釜」をはじめ「母の晴れ着」「祖母の帯」が、いかにもお正月らしさを感じさせる句だという選評を多く集めました。

山田伸子の7点句「年賀状去年の問ひの答へ来ぬ」は毎年の年賀状のやり取りによくある風景をうまく句にしているという選評を得ました。 

今回は兼題の句の他に、「初釜」「年賀状」「七草」「賀状」「初景色」など新年の季語(傍題)による句が多く寄せられ、1月にふさわしい句会でした。

また、最近の句会の新しい傾向として、4点句の「五十年ぶり」の句や3点句の「恋猫」の句のように、背後に気になるドラマが感じられる句が選評会を賑わしています。  

次回は2月27日、兼題は田村昌恵さん出題の「春光」です。兼題1句と当季雑詠2句をご用意ください。

 当句会への新規入会あるいは体験参加希望の方は、鎌倉稲門会事務局あてメールでお問い合わせください。


【今月の高得点句一部修正、同点句は兼題優先)氏名は俳号

(8点句)  初釜や母の晴れ着に祖母の帯        田村昌恵

(7点句)  年賀状去年の問ひの答へ来ぬ        山田伸子

5点句)   七草を空で言ひ終へ粥を食む        石川一洋

(4点句)  日脚伸ぶまだボール蹴る子等の声      高吉よしえ

       日脚伸ぶ背の赤子の大あくび        浜崎かづき

        片肌を脱いで杜氏の寒造          浜崎かづき

 五十年ぶり旧姓の賀状来る         吉崎明光

(3点句)  恋猫の寡婦の敷居を危ふくす        鈴木金平

 故郷の汁(つゆ)味の濃き晦蕎麦       福田くにもと

 モノクロの旅路に冬の瀑布かな       山田伸子

 托鉢の僧の低唱冬日影           田村昌恵

                              

(山田伸子記)


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2023年01月27日

第67回「りんどう句会」報告

第67回「りんどう句会」報告

(2022年12月26日(月)鎌倉芸術館にて開催)

第67回句会は12名の出席、1名のメールによる欠席投句で一人3句ずつ全39句の出句でした。当月の兼題は吉崎明光さん出題の冬の季語「霜夜」です。


今回の最高点は、福田くにもとさん、田村昌恵さんの句で夫々7点を獲得しました。

福田くにもとさんの句は「寒さで竹が割れるバシッという音を聞いた自分の体験が思い出される、昔の旅の思い出のようだが、旅先の宿で聞いたというのが良い」などの選評があり、選者全員が「竹割れ聞こゆ」の表現が良いとのことでした。一方、俳句では「聞こゆ」(見る/聴くなど)のような表現は敢えて使わずに、読み手にそれを感じ取ってもらう表現にするのが一般的だという吉崎代表の貴重なコメントがありました。


田村昌恵さんの「煤払」の句は、「年中行事の楽し気な句だ、よくある風景だが『華やぎ』という言葉が効いている、うきうきと楽しそう」などの選評がありましたが、「『華やぎ』というのは作者の見た感じで当事者がどう感じているかはわからない」というコメントもありました。


次回は1月30日、兼題は高吉よしえさん出題の「日脚伸ぶ」です。兼題1句と当季雑詠2句をご用意ください。

 当句会への新規入会あるいは体験参加希望の方は、鎌倉稲門会事務局あてメールでお問い合わせください。


【今月の高得点句一部修正、同点句は兼題優先)氏名は俳号

(7点句)  霜夜更け竹割れ聞こゆ旅の宿        福田くにもと

        神職も巫女も華やぎ煤払          田村昌恵

(5点句)   樹の陰に小さき実生の冬もみぢ       山田伸子

       年毎に書くも受くるも減る賀状       高吉よしえ

(4点句)  十年の恋を捨て去る柚子湯かな       石川一洋        

       法華堂跡の夢幻や落葉降る         吉崎明光

(3点句)  遠くから夜汽車の汽笛露夜更く       浜崎かづき

 一鉢のポインセチアや部屋明かし      高吉よしえ

 病みし汝の息うかがひつ蜜柑食む      鈴木金平


                                (山田伸子記)

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2022年11月11日

第65回「りんどう句会」報告


第65回「りんどう句会」報告

(2022年10月31日(月)鎌倉芸術館にて開催)

第65回句会より新しく石川洋一(俳号一洋)さんを迎え、会員は13名となりました。今回は全会員の出席で一人3句ずつ全39句の出句でした。当月の兼題は手島廉雲さん出題の秋の季語「月」です。

今回の最高点も前回と同じ北村拓水さんの句で、「秋の雲鰯へ鯖へ鱗へと」で

10点を獲得しました。中七、下五が鰯へ鯖へ鱗へと」と鰯雲、鯖雲、鱗雲と魚関連の語を使って変って行く雲の様子を見事にあらわし、大変リズミカルであり、面白いという選評を多く得ました。

6点句は鈴木金平さんの作で、作者自身が台所に立って南瓜を料理した時の句だそうです。包丁で南瓜を切る苦労が「南瓜めが」にあらわれていて、経験者ならすぐ納得するユーモラスな句でした。また、「包丁銜(くわ)へ離さざる」という擬人法が効果的に使われているということでした。

次回は11月28日、兼題は福田くにもとさん出題の「初雪」です。兼題1句と当季雑詠2句をご用意ください。

 当句会への新規入会あるいは体験参加希望の方は、鎌倉稲門会事務所あてメールでお問い合わせください。

【今月の高得点句(一部修正、同点句は兼題優先)氏名は俳号

(10 点句) 秋の雲鰯へ鯖へ鱗へと         北村拓水

6点句)  南瓜めが包丁銜へ離さざる       鈴木金平

(4点句)  月浴びて踊り尽くさむ彼の世まで    鈴木金平

       月と犬連れて月夜の散歩かな     浜崎かづき

       風読みて故郷へ発つや鷹柱      千葉ふみこ

       秋ともし骨董の椅子軋みけり      山田伸子

(3点句)  団栗を拾ふ母子の相似形        吉崎明光

       秋日受く置かれしままの観光誌    福田くにもと

       漱石の直球の句や明日子規忌     千葉ふみこ

       

                                   (山田伸子記)

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2022年10月13日

第64回「りんどう句会」報告

第64回「りんどう句会」報告

(2022年9月26日(月)鎌倉芸術館にて開催)

 第64回句会は、12名の会員から3句ずつ、全36句の出句で、その内2名はメール投句でした。当月の兼題は山田伸子出題の秋の季語「秋風」です。

今年は9月に入っても残暑がいつまでも続き、また台風の影響もあり、爽やかな「秋風」はあまり経験できなかったようですが、投句には爽やかな風、寂しい風、もの悲しい風など、季語の持つ幅広い「風」の味わいが反映され、おしゃれな句もありました。

今回の最高点は北村拓水さんの「言へば妻との隙間秋の風」で7点でした。

どこかで聞いたようではありますが、五七五の中七「妻との隙間」に共感したという男性陣の感想が圧倒的でした。けれど、女性からも2名の方から点が入っていて、妻の側からも「隙間」への共感が寄せられたものと思われます。

6点句は2句とも藪野詠子さんの作で、それぞれ「つと秋風とすれ違ひ」、「すとんと秋となりにけり」の副詞が効果的で良かったという選評が語られました。

次回は10月31日、兼題は手島廉雲さん出題の「月」です。兼題1句と当季雑詠2句をご用意ください。

 当句会への新規入会あるいは体験参加希望の方は、鎌倉稲門会事務所あてメールでお問い合わせください。


【今月の高得点句(一部修正、同点句は兼題優先)氏名は俳号


(7点句) 言へば妻との隙間秋の風      拓水

6点句)  曲り角つと秋風とすれ違ひ      詠子

      嵐去りすとんと秋となりにけり    詠子

5点句) 秋風やレモングラスの紅茶の香    明光

      部屋部屋の建具戻りて秋の風     ふみこ

      傘すぼめ行き交ふ道や萩の花     よしえ

(4点句) 巨峰摘む小顔のデニムキャスケット  明光

(3点句) 閉店の貼り紙ゆらす秋の風      よしえ

誰が植ゑし交番前の白式部      ふみこ

                                (山田伸子 記)


稲門会HP第64回りんどう句会 .pdf  ←句会風景 クリックしてください。

  
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2022年09月08日

第63回「りんどう句会」報告

第63回「りんどう句会」報告2022829日(月)鎌倉芸術館にて開催)

 第63回句会は、コロナの感染者状況を鑑みて自由参加形式のリアル句会を実施しました。基本的には全員リアル句会参加の意向でしたが、結果的にはそれぞれの事情により4名がメールによる欠席投句となり、リアルでは8名の参加となりました。兼題「流星」(北村拓水さん出題)と当季雑詠合わせて、従来通り3句×12名=36句の句について、欠席投句者のメールによる選評も含めて、活発な合評(意見交換)が行われました。以下、一部、抜粋してその内容をご紹介します。

 山田伸子さんの「迎え盆」の句は亡き人の魂を迎えて、生前「言ひそびれし」諸々の思いを語ったという、措辞(言葉の用法)の優れた句で、共感を覚えた選者は全員特選を入れました。

千葉ふみこさんの「弧を描き」は、湘南モノレール沿線に住んでいる人の共感を呼んだようです。また同じく「結願の」は季語を上手に使って省略の利いた、句の姿も美しい佳句となりました。

 鈴木金平さんの「十四のあの子」の句は、選者はいずれも、亡くなった子を詠んだ句と捉えたようですが、作者が判明して、「金平さんなら、十四のあの子は絶対初恋の相手に違いない」と句会場は大爆笑。作者によれば、実際その通りでした。

 同じく、「秋単衣」の句は、「秋単衣」は歳時記には載っておらず、季語として許容できるかどうか、その場合、季語「虫干」の傍題の「風入るる」との関係はどうか、などの議論で大いに盛り上がりました。

なお、次回は926日(月)、現時点ではリアル句会の予定で、兼題は山田伸子さん出題の「秋風」です。兼題1句と当季雑詠2句をご用意ください。

 当句会への新規入会あるいは体験参加希望の方は、鎌倉稲門会事務所あてメールでお問い合わせください。

句会では原則、11句について和気藹々とした雰囲気の中で自由に意見交換を行うので、確実に「俳句力」が向上していきます。楽しいですよ。是非ご連絡をお待ちしています。


【今月の高得点句(同点句は兼題優先)原句のまま 氏名は俳号

(8点句) 迎へ盆言ひそびれしを語りけり 山田伸子

(5点句)弧を描きモノレール追ふ秋燕  千葉ふみこ

(4点句) 結願の山門の灯や星流る    千葉ふみこ

        流星よ十四のあの子連れて来よ 鈴木金平

        盆提灯ともり野の花浮かびけり 山田伸子

        着ることのなき秋単衣風入るる 鈴木金平

(3点句) 抹茶パフェ美味し墓参の帰り道 吉崎明光

      胡弓の音細く哀しく風の盆   浜崎かづき

      時計跡くっきり腕に秋来たる  高吉よしえ

        家も田もりんご畑も秋出水   千葉ふみこ

        高原の焼もろこしのバスに充つ 吉崎明光

        幕府跡ミッション校に新松子  前川たく *

        *「新松子(しんちぢり」は、新しくできた松かさのこと。                            

       (吉崎明光記)


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2022年08月16日

第62回「りんどう句会」(メール句会)報告

第62回「りんどう句会」(メール句会)報告

(2022年7月26日(月)投句、日(月)選句締切り

 第62回句会は、12名の会員から3句ずつ、全36句の出句でした。当月の兼題は藪野詠子さん出題の夏の季語「夏休み」です。また、今回はコロナウイルス第7波蔓延のため、残念ながらメール句会となりました。

メール句会では双方向の口頭による意見の交換はできないのですが、毎回作られる句会報に自分が特選句に選んだ句についての選評を書き、自分の作った句の「句の背景」を載せることができます。句会報は、「みんなの選んだ特選句」、得点の高い順に並べた「互選による得点句」から成り、我々にとって何より勉強になるのがリアル句会、メール句会を問わず、吉崎明光代表が「互選による得点句」に書いて下さる添削とコメントです。

今回最高点を獲得した田村昌恵さんの句照れながら開く日傘や伊達男」を特選に選んだ選評には男性からのものと女性からのものがありましたが、どちらも、日傘は男性にはまだ「気恥ずかしい」「照れくさい」物という点を取り上げていました。そして「伊達男」という表現にも点が集まったと思われます。

次回は8月29日、兼題は北村拓水さん出題の「流星」です。兼題1句と当季雑詠2句をご用意ください。

 当句会への新規入会あるいは体験参加希望の方は、鎌倉稲門会事務所あてメールでお問い合わせください。


【今月の高得点句(同点句は兼題優先)氏名は俳号

(8点句) 照れながら開く日傘や伊達男     田村昌恵

(6点句)  夏休みバイトも恋もデパ地下で     鈴木金平

      兄の手のそつと添へられ庭花火    吉崎明光  

      追ふ子らをからかふごとく夏の蝶   前川たく

      かき氷崩れて弾む会話かな      福田くにもと

(3点句) せみ鳴かずズボンにしかとしがみつき 手島廉雲                    

   (山田伸子記)






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2022年07月03日

第61回「りんどう句会」報告

第61回「りんどう句会」報告

(2022年6月20日(月)鎌倉芸術館にて開催)

 第61回句会は、12名の会員全員が芸術館に集い、3句ずつ全36句の出句でした。当月の兼題は鈴木金平さん出題の夏の季語「梅雨寒」です。

今回は梅雨の最中だけあって、兼題の「梅雨寒」の句を始め雨にちなんだ句が多かったようです。その中で今回も最高点を得た千葉ふみこさんの句テノールの森青蛙雨と和す」は「雨と和す」がいい、やっぱり「テノール」でしょうと点を集めました。また、鈴木金平さんの「濡れ烏」の句は「仲間はづれの」が「仲間はづれか」に清記表転記の訂正があり、それなら、と更に点が加わったようです。たった一音の助詞がものを言ったものと思われます。

今月はりんどう句会が発足して5周年に当たり、句会の後の記念懇親会もコロナ対策に気を付けながら、久々の会を楽しく過ごしました。

次回は7月25日、リアル句会の予定で、兼題は藪野詠子さん出題の「夏休み」です。兼題1句と当季雑詠2句をご用意ください。

 当句会への新規入会あるいは体験参加希望の方は、鎌倉稲門会事務所あてメールでお問い合わせください。


【今月の高得点句(同点句は兼題優先)一部修正済 氏名は俳号

(6点句) テノールの森青蛙雨と和す      千葉ふみこ

(5点句)  梅雨寒や仲間はづれか濡れ烏     鈴木金平

      見送りし一人旅の子夏帽子      山田伸子

      夕焼雲親子でハモる童歌       前川たく

(4点句) 梅雨寒や古疵一つ疼きをり      福田くにもと

      夏帽子装ふ老女の京ことば      福田くにもと

      久に会ふ人待つ銀座夏燕       田村昌恵

      店先に紅競ひ合ふさくらんぼ     北村拓水

(3点句) 梅雨寒もトイプードルは裸んぼ    手島廉雲

 崩れゆく友の記憶や梅雨寒し     山田伸子

 結葉に光一条鳥の歌         吉崎明光   

     (山田伸子記)





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2022年06月17日

第60回「りんどう句会」報告

第60回「りんどう句会」報告

(2022年5月30日(月)鎌倉芸術館にて開催)

 第60回句会は、芸術館に12名の会員全員が集まり、一人3句で全36句の出句でした。当月の兼題は前川たくさん出題の夏の季語「冷奴」です。

俳句は同じ句がそれを読む人によって解釈が自由になされるところから、作者の思いとはかけ離れた解釈があったり、男性と女性によって二つの異なる解釈に分かれたりすることがあり、今回も「冷奴」を料理する側に立った解釈とそれを食べる側の解釈があったりで、句会は盛り上がりました。一方、最高得点3句のうちの福田くにもとさんの「冷奴八十路越ゆれど角立ちぬ」は、何歳になっても角が立ってしまいますねえと、意見は割れることなく、妙に一致しました。このように句会では、作者が誰かわからない段階で遠慮なく自由に意見を述べ合い、とても民主的です。

次回は6月20日、リアル句会の予定で、兼題は鈴木金平さん出題の「梅雨寒」です。兼題1句と当季雑詠2句をご用意ください。

 当句会への新規入会あるいは体験参加希望の方は、鎌倉稲門会事務所あてメールでお問い合わせください。

【今月の高得点句(同点句は兼題優先)一部修正済 氏名は俳号

(6点句) 冷奴八十路越ゆれど角立ちぬ   福田くにもと

 さみだれや止まぬ隣の痴話喧嘩  鈴木金平

 しやがの花寺の坂ゆく老佳人   千葉ふみこ 

(5点句) 床下に走るみずおと夏料理    浜崎かづき   

(4点句) 明日閉ぢるなじみの店の冷奴   田村昌恵

 香水をつけて少女を終へにけり  浜崎かづき

(3点句) もう一品茗荷を添へて冷奴    山田伸子

 見守りし雛の巣立ちや風優し   田村昌恵

 葉桜の下に古道の道標      福田くにもと


                            (山田伸子記)


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2022年05月17日

第59回「りんどう句会」報告

59回「りんどう句会」報告

2022425日(月)鎌倉芸術館にて開催)

 第59回句会は、4か月ぶりに芸術館で顔を合わせ、12名の会員で句座を囲みました。一人3句の出句で全36句でした。 当月の兼題は浜崎かづきさん出題の「しやぼん玉」で、春の季語です。幼い子供の姿が目に浮かぶような野口雨情の童謡が聞こえてくるような句が多かったようです。俳句では歴史的仮名遣いが使われ、しゃぼん玉の「や」は大きい文字で書かれます。最高得点は千葉ふみこさんの句でした。「ひざ頭六つ」が何ともかわいらしいと多くの点を獲得しました。
 次回、530日(月)は第60回を迎え、発足から5年になります。現時点ではリアル句会を実施する予定です。兼題は前川たくさん出題の「冷奴」で夏の季語です。兼題1句と当季雑詠2句をご用意ください。
 当句会への新規入会あるいは体験参加希望の方は、鎌倉稲門会事務所あてメールでお問い合わせください。

         (今月の高得点句:3点以上。一部修正後。氏名は俳号)


  9点句:縁側にひざ頭六つしやぼん玉     千葉ふみこ      

  7点句:しやぼん玉吹く子のゑくぼママゆづり 田村昌恵

           陽炎の中へ消えゆく乳母車      浜崎かづき

      4点句:どうせすぐ割れる定めよしやぼん玉  鈴木金平     

          揚げ雲雀つぶてのやうに落ちにけり  浜崎かづき

            散り始むる花の中行くランドセル      福田くにもと

   3点句:行く春や(はは)の見立てし小紋柄        山田伸子

          春ゆくか懶惰の吾を置き去りて       鈴木金平 

   でこぽんと云ふ名も楽し春みかん    高吉よしえ

    段葛一直線の桜かな         高吉よしえ

*今回は18日に亡くなりました上野なをひろさんを偲び、各自一句ずつ献句してご冥福をお祈りしました。

                                 (山田伸子記)

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2022年04月15日

第58回「りんどう句会」(メール句会)報告

58回「りんどう句会」(メール句会)報告

2022328日(月)投句、202244日(月)選句締切り)

58回句会は、先月に引き続きコロナ感染者数下げ止まりの状況に鑑みて、メール方式で実施しました。出句数は12名×3=36句(選句は13名)。

当月の兼題は千葉ふみこさん出題の「ぶらんこ」。中国の北方民族に、寒食の節(冬至後百五日目)に鞦韆(しゅうせん。遊具の「ぶらんこ」のこと)に乗って春の神を呼ぶという風習があり、それが我が国では春の遊びの季語として広まったと言われています。映画「生きる」の志村喬のぶらんこのシーンは、当時小学生だった私にもとても強烈な印象を残しました。今回も藪野詠子さんがその思い出の句を詠まれており、皆さんの共感を得ています。

最高得点は千葉ふみこさんの句。新しい口紅を買ったのに思うように外出もできないまま、三度目の春を迎えてしまったというもどかしさを詠まれており、大多数の方の点を獲得しました。

次回425日(月)開催の59回句会は、感染対策に十分留意しながら久しぶりに会場に集合してリアル句会で行う予定です。兼題は浜崎かづきさん出題の「しゃぼん玉」。出句は兼題1句と当季雑詠2句の合計3句。当句会への新規入会あるいは体験参加希望の方は、鎌倉稲門会事務所あてメールでお問い合わせください。楽しいですよ。是非一度覗いてみて下さい。

    (今月の高得点句:3点以上。原句のまま。氏名は俳号)

        11点句:封切らぬ口紅の有り春三たび       千葉ふみこ

        5点句:春の月無灯のホテル闇に浮く       福田くにもと

            三十路過ぐ娘の慶事桜咲く        北村拓水

        4点句:ぶらんこや映画「生きる」のラストシーン  藪野詠子

               幼顔のこす笑顔や卒業子          田村昌恵

        3点句:寝足りたる猫また眠る春炬燵         福田くにもと

             公転を促すごとく地虫出づ         吉崎明光

                                   (吉崎明光記)


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2022年03月15日

第57回「りんどう句会」(メール句会)報告

<第57回「りんどう句会」(メール句会)報告

2022228日(月)投句、202237日(月)選句締切り)> 

 第57回句会は、オミクロン株感染者数高止まりの状況に鑑みて、先月に引き続いて   メール句会を実施しました。出句数は12名×3=36句。

当月の兼題は田村昌恵さん出題の「余寒」。暦の上では寒が明けて春を迎えたものの、冬の寒さがまだあとを引いている感じをいいます。高浜虚子に「鎌倉をおどろかしたる余寒あり」という句もあります。

今回も、下記の高得点句のように、「余寒」の本意を的確に詠み込んだ多くの佳句が寄せられました。

328日(月)開催の58回句会も、現情勢下、メール句会で行います。328日(月)投句締切り。兼題は千葉ふみこさん出題の「ぶらんこ」。

中国の北方民族に、寒食の節(冬至後百五日目)に鞦韆(しゅうせん。遊具の「ぶらんこ」のこと)に乗って春の神を呼ぶという風習があり、それが春の遊びの季語として広まったと言われています。「鞦韆は漕ぐべし愛は奪ふべし」(三橋鷹女)という、情念の溢れた句もあります。皆さんからの思い切った発想の佳句を楽しみにしています。出句は兼題1句と当季雑詠2句の合計3句。

 当句会への新規入会あるいは体験参加希望の方は、鎌倉稲門会事務所あてメールでお問い合わせください。ご連絡をお待ちしています。


(今月の高得点句:3点以上。原句を一部修正。氏名は俳号)

        7点句:ふくよかな巫女も震へる余寒かな      手島廉雲

        4点句:雛の家色とりどりの靴溢れ         浜崎かづき

        コロナ禍に家居の日々や春虚し       高吉よしえ

        枝先もほんのり紅く春の風         藪野詠子

        3点句大仏の御手より余寒人里へ         田村昌恵                    

             夕景の富士くつきりと余寒あり          藪野詠子

        湯の滾る茶室の隅の余寒かな           鈴木金平

        今年また逢えましたねと雛飾る        藪野詠子

        亀鳴くや頼朝偲ぶ源氏池           福田くにもと

            行く人の見上げる先に花つぼみ          手島廉雲


                           (吉崎明光記)
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2022年03月03日

第56回「りんどう句会」報告

56回「りんどう句会」(メール句会)報告

2022131日(月)投句、202127日(月)選句締切り)>

56回句会は、オミクロン株急拡大の状況に鑑みて、リアル句会の予定をメール句会(一部、郵便)に変更して実施しました。出句数は12名×3=36句。

当月の兼題は高吉よしえさん出題の「初夢」。句会開催時期は例年1月末なので、新年の季語を詠む機会を得たいとして、出題いただいたものです。

多くの佳句が寄せられましたが、例えば、下記の手島廉雲さんの句のように、長年の仕事人生が脳内に刷り込まれてしまっている我々にとっては、若干のペーソスも感じられ、大いに共感を呼びますなど、皆さん、今回は1月を通じて楽しい初夢を楽しむことができたと思います。

ただ、1月は非常に哀しいことがありました。お正月明け早々に、当句会の立上げにも多大なご尽力をいただいた、大切な句友の上野尚博さんの訃報に接したことです。句会では、長年、バードウォッチングの会の代表としても活躍された上野さんならではの、ご専門の鳥に関する句を詠まれることも多く、その鳥の写真を回覧しながら詳しく説明していただく場面も多々ありました。最早そのような楽しい機会が失われたことがまだ現実として実感が湧いていません。

下記の藪野詠子さんの句など、上野さんの追悼句もいくつか詠まれましたが、当句会では改めて、リアル句会が開催できるようになった際に、上野さんを偲んで、鳥に因んだ句を詠んだ追悼句会を開催する予定にしています。

57回句会は、228日(月)投句締切り。兼題は田村昌恵さん出題の「余寒」。出句は兼題1句と当季雑詠2句の合計3句。

 当句会への新規入会あるいは体験参加希望の方は、鎌倉稲門会事務所あてメールでお問い合わせください。ご連絡をお待ちしています。


    (今月の高得点句:3点以上。原句のまま。氏名は俳号)

       8点句:天国がそこにありそな初茜     藪野詠子

       5点句:初夢や舞台は会社今もなほ   手島簾雲

       雪だるま子のある家に一つづつ  田村昌恵

       4点句:初夢を語る幼の頬紅く     千葉ふみこ

           まつさらの空や母娘の羽子の音  吉崎明光

           西窓の初富士などか神さぶる   前川たく

       3点句園庭に笑顔弾ける初氷      千葉ふみこ

           棒のごと喉元過ぐる寒の水    浜崎かづき

           家解かれ更地に雪の降り積る   高吉よしえ

           句友逝く鳥詠む名句冬薔薇    北村拓水

                        (吉崎明光記)


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2022年01月12日

第55回「りんどう句会」報告

<第55回「りんどう句会」報告(20211227日(月)開催)> 

 第55回りんどう句会を先月に続きリアル句会で実施しました。今回は13名参加の各3句、合計39句の出句がありました。

当月の兼題は上野なをひろさん出題の「北風」です。北又は北西から吹く冷たい冬の季節風です。大陸の冷たい高気圧から日本の東海上の低気圧に向けて吹いてきます。

互選による得点句は、最高得点8点で、その他の句も秀佳句がたくさんあり、兼題では冷たい北風の体験を詠んだ句が多くありました。

次回は、131日(月)にコロナ禍の状況下、ネット句会を開催する予定です。兼題は高吉よしえさん出題の「初夢」です。正月二日の夜に見る夢で、めでたい夢を見れば、その年は幸運を授かると言われています。

 当句会は、メンバー全員和気あいあいに俳句を楽しんでいます。ご興味のある方は、是非ご一緒に句座を囲みましょう。特にこのような環境下、日常生活に大いに潤いをもたらすこと必定です。

 新規入会あるいは体験参加希望の方は、鎌倉稲門会事務所あてメールでお問い合わせください。ご連絡をお待ちしています。

     (今月の高得点句:3点以上。氏名は俳号)

        8点句  晦日蕎麦同じ顔見て五十年       鈴木金平

          いつからか窓拭くのみの年用意     鈴木金平

        5点句  暖房の消ゆるといつも消ゆる猫     鈴木總

        4点句  故郷の柚子十個入れ冬至風呂      北村拓水

          着ぶくれて居眠りの夫老いにけり    高吉よしえ

        3点句  一燭がたちまち千に聖夜ミサ      前川たく

          着ぶくれを解きてホテルのミルクティー 田村昌恵

          故郷の土の香染むる冬菜着く      福田くにもと

          頁繰るかそけき音や夜半の冬      福田くにもと

      恋をして黒手袋を嵌(は)めてみる   吉崎明光

                                                                                                          (北村拓水記)


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2021年12月13日

第54回「りんどう句会」報告

<第54回「りんどう句会」報告(20211129日(月)開催)>

54回りんどう句会を先月に続きリアル句会で実施しました。今回は15名参加の各3句合計45句の出句がありました。

当月の兼題は吉崎明光さん出題の「障子」です。冬の季語で、片側にのみ和紙を貼り、光を採り入れつつ寒さを防ぐ、日本家屋の建具の事です。

 互選による得点句は、最高得点12点で、久し振りの高得点が出ました。その他の句も秀句、佳句がたくさんあり、兼題では昔の想い出を詠んだ句が多くありました。

 次回は、1227日(月)にリアル句会を開催する予定です。兼題は上野なをひろさん出題の「北風」です。北又は北西から吹く冷たい冬の季節風です。大陸の冷たい高気圧から日本の東海上の低気圧に向けて吹いてきます。

 当句会は、メンバー全員和気あいあいに俳句を楽しんでいます。ご興味のある方は、是非ご一緒に句座を囲みましょう。 

 特にこのような環境下、日常生活に大いに潤いをもたらすこと必定です。

 新規入会あるいは体験参加希望の方は、鎌倉稲門会事務所あてメールでお問い合わせください。ご連絡をお待ちしています。

  (今月の高得点句:3点以上。原句を一部修正。氏名は俳号)                             12点句  かたはらに葱の包みや駅ピアノ    吉崎明光                        10点句  繕ひの桜三輪古障子         田村昌恵                        7点句  明日は妻の退院蒲団干す       前川たく                          5点句  小夜時雨喪中葉書の手に重し     田村昌恵                       4点句  白障子膝突き開くる祖母の影     手島簾雲                         ちやんちやんこ意地悪爺も好々爺   浜崎かづき                       母もまた吾を思ふらん初時雨     鈴木金平                       3点句  後ろ手に障子を閉めて息一つ     吉崎明光                         植木屋をねぎらふ祖母や障子内    千葉ふみこ                                冬めきて伊達の薄着と決別す     鈴木金平                           ワンコイン路傍に並ぶ冬野菜     田村昌恵                             見番の障子にうつる宵稽古      前川たく                             風呂吹を頬張る途端鳴る電話     吉崎明光                                                                                                                             (北村拓水記)



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2021年11月07日

第53回「りんどう句会」報告

53回「りんどう句会」報告(20211025日(月)開催)

 第53回りんどう句会を久し振りにリアル句会で実施しました。今回は体験見学者1名を含め15名参加の各3句、合計45句の出句がありました。

当月の兼題は福田くにもとさん出題の「芭蕉」です。秋の季語で、バショウ科の多年草で、葉は二メートルもあり、それが風に吹かれるさまを松尾芭蕉は愛したそうです。

互選による得点句は、最高得点7点でした。その他の句も秀句、佳句がたくさんあり、得点は少し分散しました。兼題では皆さん苦闘して様々な芭蕉の状況を詠んだ句が多くありました。

次回は、1129日(月)にリアル句会を開催する予定です。兼題は吉崎明光さん出題の「障子」です。冬の季語で、片側にのみ和紙を貼り、光を採り入れつつ寒さを防ぐ、日本家屋の建具の事です。

 当句会は、メンバー全員和気あいあいに俳句を楽しんでいます。ご興味のある方は、是非ご一緒に句座を囲みましょう。特にこのような環境下、日常生活に大いに潤いをもたらすこと必定です。

 新規入会あるいは体験参加希望の方は、鎌倉稲門会事務所あてメールでお問い合わせください。ご連絡をお待ちしています。

    (今月の高得点句:3点以上。原句を一部修正。氏名は俳号)

       7点句  車酔ひせぬや荷台の捨案山子     前川たく

       6点句  付けくるるをさなの背伸び赤い羽根  浜崎かづき

         似合ふねと言ひし夫恋ふ秋袷     鈴木金平

         品書の墨の薄れや走り蕎麦      福田くにもと              

       5点句  瀬戸内の風の香りや青檸檬      田村昌恵

       4点句  芭蕉打つ雨もをかしき旅寝かな    吉崎明光 

      前菜に添へる一葉の柿紅葉      福田くにもと

    北へ行く車内の訛り里の秋      山田伸子

         新蕎麦にぬる燗添へて馴染み客    北村拓水

       3点句  風受けてたてがみのごと芭蕉かな   鈴木總

         無住寺の庭に芭蕉の暮れ残る     福田くにもと

         栗の実の一つこぼれて冬隣      上野なをひろ

         生うけし性に抗ふひとの秋      千葉ふみこ

                                                                                                                                                    (北村拓水記)
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2021年10月09日

第52回「りんどう句会」報告

<第52回「りんどう句会」報告(2021927日(月)投句締切)>


 第52回りんどう句会をネットで実施しました。今回は14名参加の各3句、合計42句の出句がありました。

当月の兼題手島簾雲さん出題の「露」です。秋の季語で、水蒸気が地表近くの冷たいものの表面に凝結して水滴になったものを言います。

互選による得点句は、最高得点6点でした。その他の句も秀佳句がたくさんあり、得点は少し分散しました。兼題では様々な露の状況を詠んだ句が多くありました。

次回は、1025日(月)に久し振りのリアル句会を開催する予定です。兼題は福田くにもとさん出題の「芭蕉」です。秋の季語で、バショウ科の多年草で、葉は二メートルもあり、それが風に吹かれるさまを松尾芭蕉は愛したそうです。


 当句会は、メンバー全員和気あいあいに俳句を楽しんでいます。ご興味のある方は、是非ご一緒に句座を囲みましょう。特にこのような環境下、日常生活に大いに潤いをもたらすこと必定です。

 新規入会あるいは体験参加希望の方は、鎌倉稲門会事務所あてメールでお問い合わせください。ご連絡をお待ちしています。

    (今月の高得点句:3点以上。氏名は俳号)

            6点句  秋の雨はやふたとせの空き旅館  福田くにもと

            5点句  長年の主治医閉院秋淋し     高吉よしえ

            古書店の主役は昭和秋うらら   山田伸子                        

            4点句  露の玉零るるきはに閃けり    福田くにもと

            3点句  風立ちぬ右往左往の芋の露    浜崎かづき

         露けしや湖畔の朝の舟着き場   吉崎明光

            種ありの巨峰昭和の男たち    田村昌恵

            夭逝のチェリストの名の秋薔薇  山田伸子

            野仏に微笑み返す秋彼岸     千葉ふみこ

            付いて来る我が影友に秋遍路   浜崎かづき

            鬼灯を揉む指先のなまめかし   鈴木金平                                                                                                                                            (北村拓水記)


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2021年09月10日

第51回「りんどう句会」報告

<第51回「りんどう句会」報告(2021830日(月)投句締切)>


 第51回りんどう句会をネットで実施しました。今回は14名参加の各3句、合計42句の出句がありました。

当月の兼題は山田伸子さん出題の「朝顔」です。秋の季語で、鎌倉時代以後、観賞用に栽培され、江戸時代に広く親しまれる様になりました。

互選による得点句は、最高得点8点でした。その他の句も秀佳句がたくさんあり、得点は少し分散しました。朝顔の清々しさを詠んだ句が多くありました。

次回は、927日(月)投句締切のネット句会で、兼題は手島簾雲さん出題の「露」です。秋の季語で、水蒸気が地表近くの冷たいものの表面に凝結して水滴になったものを言います。

 当句会は、メンバー全員和気あいあいに俳句を楽しんでいます。ご興味のある方は、是非ご一緒に句座を囲みましょう。特にこのような環境下、日常生活に大いに潤いをもたらすこと必定です。

 新規入会あるいは体験参加希望の方は、鎌倉稲門会事務所あてメールでお問い合わせください。ご連絡をお待ちしています。

   (今月の高得点句:3点以上。一部修正後。氏名は俳号)

        8点句  秋日射のれんの奥に招き猫     田村昌恵

        6点句  長き夜や近所で止まる救急車    浜崎かづき

         妻病みて米磨ぐ吾や花芙蓉     鈴木金平                        

        5点句  蜩の声響き合ひ谷戸暮るる     北村拓水

         秋灯や老女の守る縄暖簾      福田くにもと

         踊り果てうづき始むる鼻緒擦れ   浜崎かづき

       3点句  朝顔や青は去年のこぼれ種     高吉よしえ

      朝顔の紫紺からまる破れ垣     前川たく                        

         庭先に朝顔咲ける朝餉かな     山田伸子

         送り火の彼方の影の去りやらず   吉崎明光

         つなぐ手をほどきたきよな残暑かな 前川たく

                                                                                           (北村拓水記)

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