第63回「りんどう句会」報告(2022年8月29日(月)鎌倉芸術館にて開催)
第63回句会は、コロナの感染者状況を鑑みて自由参加形式のリアル句会を実施しました。基本的には全員リアル句会参加の意向でしたが、結果的にはそれぞれの事情により4名がメールによる欠席投句となり、リアルでは8名の参加となりました。兼題の「流星」(北村拓水さん出題)と当季雑詠合わせて、従来通り3句×12名=36句の句について、欠席投句者のメールによる選評も含めて、活発な合評(意見交換)が行われました。以下、一部、抜粋してその内容をご紹介します。
山田伸子さんの「迎え盆」の句は亡き人の魂を迎えて、生前「言ひそびれし」諸々の思いを語ったという、措辞(言葉の用法)の優れた句で、共感を覚えた選者は全員特選を入れました。
千葉ふみこさんの「弧を描き」は、湘南モノレール沿線に住んでいる人の共感を呼んだようです。また同じく「結願の」は季語を上手に使って省略の利いた、句の姿も美しい佳句となりました。
鈴木金平さんの「十四のあの子」の句は、選者はいずれも、亡くなった子を詠んだ句と捉えたようですが、作者が判明して、「金平さんなら、十四のあの子は絶対初恋の相手に違いない」と句会場は大爆笑。作者によれば、実際その通りでした。
同じく、「秋単衣」の句は、「秋単衣」は歳時記には載っておらず、季語として許容できるかどうか、その場合、季語「虫干」の傍題の「風入るる」との関係はどうか、などの議論で大いに盛り上がりました。
なお、次回は9月26日(月)、現時点ではリアル句会の予定で、兼題は山田伸子さん出題の「秋風」です。兼題1句と当季雑詠2句をご用意ください。
当句会への新規入会あるいは体験参加希望の方は、鎌倉稲門会事務所あてメールでお問い合わせください。
句会では原則、1句1句について和気藹々とした雰囲気の中で自由に意見交換を行うので、確実に「俳句力」が向上していきます。楽しいですよ。是非ご連絡をお待ちしています。
【今月の高得点句(同点句は兼題優先)原句のまま 氏名は俳号】
(8点句) 迎へ盆言ひそびれしを語りけり 山田伸子
(5点句)弧を描きモノレール追ふ秋燕 千葉ふみこ
(4点句) 結願の山門の灯や星流る 千葉ふみこ
流星よ十四のあの子連れて来よ 鈴木金平
盆提灯ともり野の花浮かびけり 山田伸子
着ることのなき秋単衣風入るる 鈴木金平
胡弓の音細く哀しく風の盆 浜崎かづき
時計跡くっきり腕に秋来たる 高吉よしえ
家も田もりんご畑も秋出水 千葉ふみこ
高原の焼もろこしのバスに充つ 吉崎明光
幕府跡ミッション校に新松子 前川たく *
*「新松子(しんちぢり」は、新しくできた松かさのこと。
(吉崎明光記)
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